日本語学校
認定日本語教育機関の出席管理ガイドライン ― 8割・5割・7割の意味
今回のポイント
月の出席率が8割を下回った時点で改善指導と記録が必要になり、5割未満ではアルバイト先の確認も加わります。
「相当数」の判断例として6か月間出席率の平均7割という目安が示されています。
- 対象
- 日本語学校
- 発表日
- 2024-04-12
- 制度の状態
- 施行済み(令和6年4月12日策定)
- 施行日
- 原文に記載なし
- 対応期限
- 期限の記載なし
- 学校の対応
- 確認推奨
認定日本語教育機関(留学のための課程を置くもの)には、出席管理と在留継続支援について守るべき事項が定められています。出入国在留管理庁と文部科学省が令和6年4月12日に策定した「出席管理及び在留継続支援体制に係る認定日本語教育機関の運営に関するガイドライン」です。
告示校が入管へ出す報告とは別の枠組みで、しかも基準の数字が違います。移行を控えた学校ほど、ここを混同しやすいところです。
8割と5割の二段構え
出席管理体制について、ガイドラインは認定基準第30条に基づき3つを求めています。
1. 出席率を適確に把握すること
2. 1か月の出席率が8割を下回った生徒 … 8割以上になるまで改善のための指導を行い、その指導の状況を記録する
3. 1か月の出席率が5割を下回った生徒 … 上記の指導に加えて、資格外活動の許可を受けている場合は勤務先の名称を確認し、記録する
ここが告示校との大きな違いです。告示基準に基づく報告では、月次で入管へ報告するのは出席率5割未満の生徒でした。認定校ではその手前、8割を下回った段階で指導と記録の義務が発生します。
出席率の定義は告示基準と同じく、その月に出席した単位時間数を出席すべき単位時間数で除した数です。日数ではありません。
なお、8割・5割のいずれも疾病その他のやむを得ない事由により欠席した者は除くとされています。欠席理由を区別して記録できることが前提になります。
「指導の記録」が求められている
注意したいのは、8割を下回った生徒について求められているのが「指導」だけでなく「その指導の状況を記録すること」である点です。
指導した事実が残っていなければ、ガイドラインに沿った運営をしていることを示せません。誰が・いつ・どの生徒に・どう指導し、その後どうなったかが追える形が要ります。
在留継続支援として求められる9項目
認定基準第34条に基づく支援体制として、9つの事項が挙げられています。学校運営の広い範囲に及ぶ内容です。
- 出願受付時に経費支弁能力を直接確認し、能力を有しない者の入学を認めない
- 仲介者等に支払った(支払を約束した)金銭の名目と額を把握し、不適切な仲介者等が関与している場合は入学を認めない
- 在留期間・資格外活動の許可の有無・活動内容・勤務先の名称を把握し、適切な助言指導を行う
- 就労・進学のあっせん対価を得ない(職業安定法上の許可を受けた場合を除く)
- 寄宿舎を置く場合は日常生活に支障のない設備を整える
- 人権侵害行為を行わない。法令違反行為を唆さない・手助けしない
- 学習活動を適正に行っているとは認められない生徒が相当数存在する場合、状況を是正する措置をとる
- 生徒が退学・除籍されたときは各種法令等に従い適切に報告する
- 著しく不適切な在籍管理を行わない
1番目の「経費支弁能力を直接確認」は、書類を受け取るだけでは足りないという趣旨です。3番目は、資格外活動の把握として別途示された3か月に1度の確認とつながります。
「人権侵害行為」に何が含まれるか
6番目について、ガイドラインは具体例を挙げています。
「人権侵害行為」には、旅券や在留カードの取上げ、合理的な理由な く生徒の意に反して除籍・退学・帰国等させる行為、進学や就職のため に必要な書類を発行しないなど生徒の進路選択を妨害する行為、生徒に 対する暴力、セクシャルハラスメント、人種差別的言動等が含まれる。
在留カードやパスポートを学校が預かる運用は、ここに該当します。また「出席率が低いから」と本人の意に反して退学させることも、合理的な理由がなければ人権侵害行為とされます。出席不良への対応は、あくまで指導と記録が先に来ます。
これらの行為は、設置者が実行した場合、組織的に行われた場合、一教員の行為でも組織として黙認されていた場合には、学校がその行為をしたものと評価されるとされています。
「相当数」の判断には具体的な例がある
7番目の「学習活動を適正に行っているとは認められない生徒が相当数存在する場合」について、該当するかどうかは生徒の数だけでなく、地方出入国在留管理局が調査を行った上で個別の状況を踏まえて判断されます。
その例として2つが挙げられています。
- 全ての生徒の6か月間出席率の平均が7割を下回ること
- 一暦年中に入学した者の3割以上が、在留期間の更新または変更を受けないで在留期間を経過して本邦に在留するに至ったこと
前者は記事「告示基準に基づく各種報告」で扱った第46号の半年ごとの集計と同じ土俵の数字です。平均7割が一つの目安になります。
後者は、入学した生徒のその後の在留状況を学校が把握していなければ気づけない指標です。卒業・修了後だけでなく、在籍中に在留期間を超過した生徒も含まれます。
「著しく不適切な在籍管理」とされる場合
9番目については、地方出入国在留管理局等が次のいずれかに該当する事実を認めたときに該当すると判断されます。
- 生徒の在籍者数に過度な増加があること
- 各日本語教育課程の授業を受けるために最低限必要な日本語能力を有しない者を多数受け入れていること
- 経費支弁能力の確認が不十分であることにより多数の学費未納者や資格外活動違反者を発生させていること
- 生徒の受入れ規模に見合わない脆弱な組織体制や適切さに欠ける就学環境であること
- その他、生徒が学習活動を適切に行っているとは認められないこと
定員を増やすときや、新しい国・地域からの募集を始めるときに、組織体制と選考が追いついているかが問われる形になっています。
学校としての備え
このガイドラインに沿った運営を示すには、次の3つが揃っている必要があります。
- 月次で出席率を単位時間数ベースで出せる(8割・5割の線引きに使う)
- 欠席理由を区別できる(疾病その他やむを得ない事由を除外するため)
- 指導の記録が生徒ごとに追える(いつ・誰が・どう指導し、その後改善したか)
加えて、半期ごとに全生徒の出席率平均を出せると、7割という目安に対して自校がどこにいるか把握できます。出席簿が紙やファイルに散らばっていると、この3つ目と平均の算出が一番苦しくなります。
根拠となる原文
記事に書いた内容は、以下の原文と照合しています。引用は一次資料のままで、表記も変えていません。番号は「出典・一次資料」に対応します。上の「発表日」「施行日」が「原文に記載なし」となっているのは、その日付が一次資料に書かれていないためです。原文にない日付を推測して補うことはしていません(編集方針)。
原文が求めていること認定日本語教育機関は、生徒の授業への出席率を適確に把握することが求められる(認定基準第30条関係)
(1)生徒の授業への出席率を適確に把握すること。 出典 [1]
原文が求めていること1か月の出席率が8割を下回った生徒(やむを得ない事由による欠席を除く)には、8割以上になるまで改善のための指導を行い、その指導の状況を記録する
(2)1か月の出席率 (その月に出席した単位時間数を出席すべき単位時間数で 除した数をいう。以下同じ。 )が8割を下回った生徒(疾病その他のやむを得 ない事由により欠席した者を除く。) については、 1か月の出席率が8割以上 になるまで改善のための指導を行い、その指導の状況を記録すること。 出典 [1]
原文が求めていること1か月の出席率が5割を下回った生徒については、指導に加えて資格外活動の勤務先の名称を確認し記録する
(3)1か月の出席率が5割を下回った生徒 (疾病その他のやむを得ない事由に より欠席した者を除く。)については、上記(2)による指導等に加え、当該 生徒が資格外活動の許可を受けている場合は当該許可に係る活動を行う本 邦の公私の機関の名称を確認し、記録すること。 出典 [1]
原文が求めていること出願受付時に学習の継続に必要な経費支弁能力を適切な方法により直接確認し、同能力を有しない者の入学を認めない
(1)入学を希望する者(以下「入学希望者」という。 )の出願受付時に、学習 の継続に必要な経費支弁能力を有することを、適切な方法により直接確認す ることとし、同能力を有しない者の入学を認めないこと。 出典 [1]
原文が求めていること生徒の在留期間・資格外活動の許可の有無・活動内容・勤務先の名称を把握し、出入国管理法令に違反しないよう適切な助言及び指導を行う
(3)生徒の在留期間並びに資格外活動の許可の有無、当該許可に係る活動の内 容及び当該活動を行う本邦の公私の機関の名称を把握し、出入国管理法令に 違反しないよう適切な助言及び指導を行うこと。 出典 [1]
原文が求めていること人権侵害行為には、旅券や在留カードの取上げ、合理的な理由なく意に反して除籍・退学・帰国させる行為、進路選択の妨害などが含まれる
「人権侵害行為」には、旅券や在留カードの取上げ、合理的な理由な く生徒の意に反して除籍・退学・帰国等させる行為、進学や就職のため に必要な書類を発行しないなど生徒の進路選択を妨害する行為、生徒に 対する暴力、セクシャルハラスメント、人種差別的言動等が含まれる。 出典 [1]
原文が求めていること学習活動を適正に行っているとは認められない生徒が相当数存在する場合は、その状況を是正する措置を適切にとる
(7)学習活動を適正に行っているとは認められない生徒が相当数存在する場 合には、その状況を是正する措置を適切にとること。(注2) 出典 [1]
原文に書かれていること「相当数存在する場合」の例として、全ての生徒の6か月間出席率の平均が7割を下回ることが挙げられている
・ 全ての生徒の6か月間出席率の平均が7割を下回ること 出典 [1]
原文に書かれていること同じく例として、一暦年中に入学した者の3割以上が在留期間の更新・変更を受けずに在留期間を経過して在留するに至ったことが挙げられている
・ 一暦年中に入学した者の3割以上が、在留期間の更新又は変更を受 けないで在留期間を経過して本邦に在留するに至ったこと 出典 [1]
原文が求めていること生徒が退学したとき又は除籍されたときは、各種法令等に従い適切に報告する
(8)生徒が退学したとき又は除籍されたときは、各種法令等に従い、適切に報 告することとすること。 出典 [1]
出典・一次資料
制度の対象や経過措置は、以下の原文で確認できます。
OneLMS
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