日本語学校
認定日本語教育機関の教育課程編成 ― 年760単位時間と修了要件
今回のポイント
編成します。修了要件は到達目標の達成度・最低授業時数以上の履修状況・出席率等の3つを勘案して定め、
教育課程の開始時に生徒へ伝える必要があります。成績判定の基準も生徒に明示します。
- 対象
- 日本語学校
- 発表日
- 2024-10-15
- 制度の状態
- 施行済み(令和6年10月15日改定)
- 施行日
- 原文に記載なし
- 対応期限
- 期限の記載なし
- 学校の対応
- 確認推奨
認定日本語教育機関の教育課程をどう編成するかは、「認定日本語教育機関日本語教育課程編成のための指針」に示されています。授業時数、レベル設定、修了要件まで含んだ内容です。
ここでは留学分野について、学校の運用に直接効いてくる部分を整理します。
授業時数は原則、年760単位時間以上
教育課程の基本となる数字です。
目標レベルに到達するために必要となる学習時間は、認定基準上の授業時数(原則、1年にわたり760単位時間以上)を維持した上で設定します。
ここで重要なのは、単に年760単位時間を満たせばよいのではない点です。指針は週ごと月ごと等の偏りがないよう留意して適切に設定することを求めています。年間の合計だけ帳尻を合わせ、特定の時期に詰め込む編成は想定されていません。
さらに、次のようにも書かれています。
学習時間は、修業期間内に最低必要な時間を確保して教育課程を編成するのではなく、進学先での授業、講義、就職する企業での業務に十分対応できること等、先に設定した到達レベル、到達目標を踏まえ、必要かつ適切な学習時間を設定する。
760単位時間は下限であって目標ではない、という位置づけです。
漢字圏・非漢字圏で学習時間を変える
文字指導について、指針は明確に踏み込んでいます。
漢字を含む文字指導は、漢字圏・非漢字圏いずれの言語を第一言語とするかを含め、学習者の背景や年齢、習得の状況を踏まえて、効果的な学習となるよう適切な学習時間を確保するとされています。
同じカリキュラムを一律に適用するのではなく、出身言語によって文字指導の時間配分を変えることが求められています。クラス編成や時間割の設計に影響する部分です。
レベルと学期の設定
日本語能力の向上を定期的に評価するため、教育課程の設置目的と到達目標を踏まえ、修業期間と総学習時間を適切な学習期間・学習時間で区切ってレベルを設定します。
区切りを定める際に決めるのは次の項目です。
- 一定の期間における週数
- 到達レベル・到達目標
- 教育内容
- 1週当たりの授業時数
- 学習成果の評価を行う時期
レベルの名称は問われませんが、「日本語教育の参照枠」のレベル設定に対応させながら設定します。また、機関が設定した学期とレベルを連動させることもできるとされています。
教育内容の実施にあたっては、一定の期間ごとに学習成果の評価の機会を設けることが求められます。
修了要件は3つを勘案する
教育課程の修了要件について、指針は次の3つを勘案した一定の基準を適切に設けるとしています。
- 各授業科目についての学習成果の評価を含む、教育課程で定めた到達目標の達成度
- 最低授業時数以上の履修状況
- 出席率等
成績だけでも、出席だけでもありません。到達目標の達成度・履修状況・出席率の3つを組み合わせた基準が必要です。
そして、教育課程の開始時に修了要件を学習者(生徒)に伝えることが求められます。修了間際に基準を示すのでは足りません。
成績の判定には透明性が求められる
修了要件と並んで、成績判定の透明性が明記されています。
各機関は次を適切に定め、それらが学習者(生徒)に明確に示されていることが求められます。
- 教育課程における様々な学習成果の評価の内容と、成績の判定との関連性
- 成績の判定の際の評価の方法
- 評価基準
「何をどう評価して、どういう基準で成績がつくか」を、生徒が分かる形で示しておく必要があるということです。
学校としての備え
この指針に沿った運用を示すには、教育課程の設計そのものだけでなく、実施の記録が要ります。
- 週・月ごとの授業時数が出せる(年760単位時間の達成だけでなく、偏りがないことを示すため)
- レベルごとの到達目標と評価時期が定義されている
- 修了判定に3要素が揃う … 到達目標の達成度(成績)、最低授業時数以上の履修状況、出席率
- 評価基準が生徒に開示されている
3番目は、成績・履修・出席という別々に管理されがちなデータを1人の生徒について突き合わせる作業です。修了判定の時期にこれらが別々の台帳に散らばっていると、判定そのものに時間がかかります。
また4番目は、シラバスや学則に評価基準を書いて終わりではなく、生徒がいつでも参照できる状態にあるかが問われます。
根拠となる原文
記事に書いた内容は、以下の原文と照合しています。引用は一次資料のままで、表記も変えていません。番号は「出典・一次資料」に対応します。上の「発表日」「施行日」が「原文に記載なし」となっているのは、その日付が一次資料に書かれていないためです。原文にない日付を推測して補うことはしていません(編集方針)。
原文が求めていること目標レベルに到達するために必要な学習時間は、認定基準上の授業時数(原則、1年にわたり760単位時間以上)を維持した上で、週ごと月ごと等の偏りがないよう留意して設定する
〇 目標レベルに到達するために必要となる学習時間は、認定基準上の授業時数(原則、1 年にわたり760単位時間以上)を維持した上で、別表を参照しつつ、週ごと月ごと等の 偏りがないよう留意しながら適切に設定する。 出典 [1]
原文が求めていること学習時間は修業期間内に最低必要な時間を確保して編成するのではなく、進学先や就職先で十分対応できること等を踏まえ、必要かつ適切な学習時間を設定する
〇 学習時間は、修業期間内に最低必要な時間を確保して教育課程を編成するのではなく、 進学先での授業、講義、就職する企業での業務に十分対応できること等、先に設定した 到達レベル、到達目標を踏まえ、必要かつ適切な学習時間を設定する。 出典 [1]
原文が求めていること漢字を含む文字指導は、漢字圏・非漢字圏いずれの言語を第一言語とするかを含め、生徒の背景や年齢、習得状況を踏まえて適切な学習時間を確保する
〇 漢字を含む文字指導については、漢字圏・非漢字圏いずれの言語を第一言語とするかを 含め、学習者(生徒)の背景や年齢、習得の状況などを踏まえて、効果的な学習となる よう適切な学習時間を確保する。 出典 [1]
原文が求めていること教育内容の実施に当たっては、一定の期間ごとに学習成果の評価の機会を設ける
〇 教育内容の実施に当たっては、一定の期間ごとに学習成果の評価の機会を設ける。 出典 [1]
原文が求めていること修業期間と総学習時間を適切な学習期間・学習時間で区切り、レベルを設定する
〇 日本語能力の向上を定期的に評価するため、当該教育課程の設置目的と到達目標を踏 まえ、修業期間と総学習時間を、適切な学習期間・学習時間で区切り、レベルを設定す る。 出典 [1]
原文が求めていること区切りを定める際は、一定の期間における週数、到達レベルや到達目標、教育内容、1週当たりの授業時数、学習成果の評価を行う時期を設定する
〇 一つの区切りを定める際は、当該教育課程の修業期間や総学習時間を勘案し、一定の期 間における週数、到達レベルや到達目標、教育内容、1週当たりの授業時数、学習成果 の評価を行う時期を設定する。 出典 [1]
原文が求めていること教育課程の修了要件は、到達目標の達成度・最低授業時数以上の履修状況・出席率等を勘案した一定の基準として適切に設け、教育課程の開始時に生徒へ伝える
○ 教育課程の修了については、各授業科目についての学習成果の評価を含む当該教育課 程で定めた到達目標の達成度、 最低授業時数以上の履修状況、 出席率等を勘案した一定 の基準による修了要件を適切に設ける。 ○ また、当該教育課程の開始時に修了要件を学習者(生徒)に伝える。 出典 [1]
原文が求めていること成績の判定には透明性が求められ、評価の内容と成績判定の関連性・評価の方法・評価基準を定めた上で、生徒に明確に示されていることが求められる
※ レベルの到達や教育課程の修了等に求められる成績の判定についても透明性が求めら れる。各機関においては、教育課程における様々な学習成果の評価の内容と成績の判定 との関連性、成績の判定の際の評価の方法や評価基準について適切に定めるとともに、 それらが学習者(生徒)に明確に示されていることが求められる。 出典 [1]
出典・一次資料
制度の対象や経過措置は、以下の原文で確認できます。
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