日本語学校
認定日本語教育機関の実地視察 ― 見られる8項目と報告書の公表
今回のポイント
見られるのは理念・教員組織・施設設備・教育課程・生徒への支援・学則の遵守状況・進路・財務の8項目で、
授業見学や生徒へのヒアリングも行われます。報告書は公表されます。
- 対象
- 日本語学校
- 発表日
- 2024-04-01
- 制度の状態
- 施行済み(令和6年4月1日 日本語教育部会決定)
- 施行日
- 原文に記載なし
- 対応期限
- 期限の記載なし
- 学校の対応
- 確認推奨
認定日本語教育機関には、文部科学省(日本語教育部会)による実地視察があります。認定を受けて終わりではなく、その後も教育の水準が保たれているかを確認される仕組みです。
視察の対象・見られる項目・結果の扱いは「認定日本語教育機関実地視察規程」(令和6年4月1日 日本語教育部会決定)に定められています。何を準備しておけばよいかが、ここから読み取れます。
第三者評価がない機関が優先される
視察の対象は部会長が定めますが、選定に方針があります。
第三者評価による客観的な質保証の仕組を有しない認定日本語教育機関が優先的に選定されるとされています。
つまり、外部の評価を受けている機関は相対的に後回しになり、受けていない機関ほど視察が来やすい構造です。
さらに規程の注記では、実施機関数を毎年決定した上で、次のような機関の中から選定するとされています。
- 過去に視察を実施していない機関
- 前回の視察から時間が経過した機関
その中から、定期報告等に基づき、課題や好事例となり得る取り組みのある機関を中心に選ぶとされています。問題がある機関だけが選ばれるわけではなく、良い取り組みをしている機関も対象になります。
見られる8項目
視察では、認定機関とその日本語教育課程が必要な法令等の基準を満たし、適切な水準にあるかを次の点に留意して確認します。
| 項目 | |
|---|---|
| イ | 日本語教育に対する理念、設置の趣旨等 |
| ロ | 教員組織 |
| ハ | 施設・設備 |
| ニ | 日本語教育課程及び履修方法 |
| ホ | 生徒への学習上及び生活上の支援 |
| へ | 学則の遵守状況 |
| ト | 生徒の進路の状況 |
| チ | 財務の状況 |
教育内容だけでなく、学則の遵守状況と財務の状況まで含まれる点が特徴です。学則に書いたとおりに運用されているかが問われるので、学則と実際の運用がずれていないかは事前に確認しておきたいところです。
事前に調査票の提出と通知がある
視察は抜き打ちではありません。
部会長は対象機関に対し、実地視察調査票をあらかじめ提出させ、実地視察の日時及び視察事項についてあらかじめ通知します。また、関係書類を視察の際に用意させることができるとされています。
調査票はあらかじめ提出するものなので、記載内容と当日の実態が揃っているかは、事前に確認しておきたいところです。
授業見学と生徒・教員へのヒアリング
視察では、必要に応じて授業見学や生徒・教員へのヒアリングが行われます。
書類の確認だけでなく、実際の授業と、現場の生徒・教員の声が対象になります。書類上は整っていても、現場の運用が伴っていなければ見えてしまう形です。
誰が来るのか
視察は、日本語教育部会または認定日本語教育機関審査会に属する委員・臨時委員・専門委員、あるいは審査会に参加する協力者が、2名以上で分担して行います。
利害関係のある機関の視察はできないとされています。また、文部科学省担当官が同行して事務にあたります。
留学のための課程を置く機関については、在籍管理上の観点から必要に応じて出入国在留管理庁担当官の協力を求めることができるとされています。留学課程を持つ学校では、入管の担当官が加わる可能性があるということです。
報告書は公表される
ここが最も実務上の重みがある点です。
視察の結果は委員等および文部科学省担当官により報告書にまとめられ、日本語教育部会に提出し、了承を経た後に公表され、対象となった機関に送付されます。
報告書は学校名とともに公表されます。学生募集や提携先との関係に影響しうるため、視察対応は広報上の意味も持ちます。
改善事項と法令違反
視察で明らかになった改善すべき事項については、適切な指導・助言が行われ、その是正措置を求められます。
さらに、関係法令に反した状態にあり、またはそのおそれがあると日本語教育部会が認める場合には、部会は文部科学大臣に意見を述べることができるとされています。認定の取消しに直接つながる規定ではありませんが、法令違反の指摘が大臣に上がる経路が用意されています。
学校としての備え
視察項目のうち、日々の記録がそのまま証拠になるものがあります。
- 教員組織 … 担当授業時数、本務等教員の状況、校長と主任教員の体制(別記事「教員・職員体制」参照)
- 日本語教育課程及び履修方法 … 時間割と実際の授業実施の記録
- 学則の遵守状況 … 学則に定めた授業時数・進級・修了の基準どおりに運用されているか
- 生徒への学習上及び生活上の支援 … 出席不良者への指導記録(別記事「出席管理ガイドライン」参照)
- 生徒の進路の状況 … 進学・就職の実績
3番目は特に、学則の記載と運用実態を突き合わせる作業が要ります。学則を改定したのに運用が追いついていない、あるいは運用を変えたのに学則が古いまま、という状態が最も指摘されやすい形です。
4番目の指導記録は、出席管理ガイドラインで保存が求められているものと同じです。視察の場でも支援の実態を示す材料になります。
根拠となる原文
記事に書いた内容は、以下の原文と照合しています。引用は一次資料のままで、表記も変えていません。番号は「出典・一次資料」に対応します。上の「発表日」「施行日」が「原文に記載なし」となっているのは、その日付が一次資料に書かれていないためです。原文にない日付を推測して補うことはしていません(編集方針)。
原文に書かれていること日本語教育部会は、教育の水準の維持・向上を図るため、必要に応じて認定日本語教育機関に対して実地視察を行う
(1)日本語教育部会は、 認定日本語教育機関が設置する日本語教育課程におけ る教育の水準の維持・ 向上を図るため、 必要に応じて、 認定日本語教育機関に 対して、実地視察を行う。 出典 [1]
原文に書かれていること実地視察の対象は部会長が定め、第三者評価による客観的な質保証の仕組を有しない機関が優先的に選定される
(1) 実地視察の対象となる認定日本語教育機関は、部会長が定める。 その際、 第三者評価による客観的な質保証の仕組を有しない認定日本語教育機関を優 先的に選定することとする 1。 出典 [1]
原文に書かれていること視察対象は、過去に視察を実施していない機関や前回から時間が経過した機関の中から、定期報告等に基づき課題や好事例となり得る取り組みのある機関を中心に選定する
1 実施体制等を踏まえて実施機関数を毎年決定し、過去に視察を実施していない機関や、 前回の視察から時間が経過した機関の中から、定期報告等に基づき、課題や好事例となり 得る取り組みのある機関を中心に選定する。 出典 [1]
原文が求めていること視察では理念・教員組織・施設設備・教育課程及び履修方法・生徒への支援・学則の遵守状況・生徒の進路の状況・財務の状況の8点に留意して確認する
(2) 実地視察は、 関係法令に基づき、 主として次の点に留意しながら、 認定日 本語教育機関及びその機関が設置する日本語教育課程が、必要な法令等の基 準を満たし、適切な水準にあるかどうかを確認する。 イ 日本語教育に対する理念、設置の趣旨等 ロ 教員組織 ハ 施設・設備 ニ 日本語教育課程及び履修方法 ホ 生徒への学習上及び生活上の支援 へ 学則の遵守状況 ト 生徒の進路の状況 チ 財務の状況 出典 [1]
原文に書かれていること実地視察は委員等2名以上で分担して行う
(3)実地視察は 日本語教育部会若しくは認定日本語教育機関審査会に属する 委員、臨時委員若しくは専門委員又は認定日本語教育機関審査会に参加する 協力者(以下「委員等」という。 )2名以上で分担して行う。 出典 [1]
原文に書かれていること留学のための課程を置く機関については、在籍管理上の観点から必要に応じて出入国在留管理庁担当官の協力を求めることができる
(7) 実地視察にあたっては、 留学のための課程を置く機関に関しては、 在籍管 理上の観点から必要に応じて、出入国在留管理庁担当官の協力を求めること ができる。 出典 [1]
原文が求めていること部会長は対象機関に実地視察調査票をあらかじめ提出させ、日時及び視察事項をあらかじめ通知する。関係書類を視察の際に用意させることができる
(8)部会長は、 実地視察の対象となる認定日本語教育機関に対し、 実地視察調 査票をあらかじめ提出させ、実地視察の日時及び視察事項についてあらかじ め通知する。 また、 実地視察の対象となる認定日本語教育機関に対し、 関係書 類を視察の際用意させることができる。 出典 [1]
原文に書かれていること実地視察では必要に応じて授業見学や生徒・教員へのヒアリングを行う
(9) 実地視察においては、 必要に応じて授業見学や生徒・教員へのヒアリング を行うこととする。 出典 [1]
原文が求めていること実地視察で明らかになった改善すべき事項については適切な指導・助言を行い、その是正措置を求める
(10) 実地視察で明らかになった改善すべき事項については、 適切な指導・助 言を行い、その是正措置を求めるものとする。 出典 [1]
原文に書かれていること報告書は日本語教育部会に提出し、了承を経た後に公表され、対象機関に送付される
(2) 報告書は日本語教育部会に提出し、 了承を経た後公表し、 実地視察対象と なった認定日本語教育機関に送付する。 出典 [1]
原文に書かれていること関係法令に反した状態にあり又はそのおそれがあると認める場合、日本語教育部会は文部科学大臣に意見を述べることができる
(1) 実地視察の対象となった認定日本語教育機関について、日本語教育部会が、 関係法令に反した状態にあり又はその恐れがあると認める場合には、日本語 教育部会は、文部科学大臣に意見を述べることができる。 出典 [1]
出典・一次資料
制度の対象や経過措置は、以下の原文で確認できます。
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